気まかせ道中膝栗毛

岡山・島根・名古屋-現存天守巡りの旅-

1日目

仕事を辞めたら決行しようと思っていたことがある。長期日程の一人旅だ。
辞めたので早速行くことにした。3泊4日の超長期旅行(当社比)で、旅程を決めている段階ですでにわくわくが止まらない。
今回の目的は現存天守巡り。岡山の備中松山城からスタートし、島根の松江城、最後に名古屋の犬山城へ行く。我ながら完璧な旅程だ。(本当は四国巡りの予定だったけど諸事情で変更になったのは内緒)

そんなこんなで旭川空港からスタート。空港の梅光軒で腹ごしらえ。
旭川空港と青空梅光軒の塩ラーメン
鬼美味。この世にラーメンを作り出した人、ありがとう。そしてラーメン屋さん、ありがとう。
ちなみに、今回のメイクの裏テーマは「垢抜けたい~学生さん?と聞かれない旅~」だが、 旭川空港出発時に「学生さん?」と聞かれた。クエスト失敗。♪もう、どうなってもいいや♪
成田への移動はスムーズに進み、第3ターミナルから第2ターミナルへの移動も問題なく完了した。
最初はバスに乗ってからも謎に緊張していたのだが、もう適当に外出てそこらに停まっているバスに飛び乗ることができるようになった。成長だ。
before、緊張する謎の生物after、バスに飛び乗る謎の生物
ターミナル間の移動を済ませた後は成田空港温泉へ行くためのバス停へ。
20分位前に行ってみると、外国の方々が沢山いて一旦引き返してしまった。知らない土地で知らない言語が聞こえてくるのはなんだか怖い。
英語や中国語より、ゲーム「NieR:Replicant」の仮面の街の言語が聞こえてくる方が安心感がある。
ビビる謎の生物NieR Replicantの仮面の街の王

そんなこんなでなんとかバスに乗車して成田空港温泉に到着。
成田空港温泉の看板
鍵で館内の清算全部する系のお風呂屋さん。食事処や休む場所もあったので、長時間くつろぐのにも最適だと思う。
私は時間カツカツ人間なので風呂に入って15分ほど呆けておしまい。でも呆けるベンチもあるのが大変ありがたかった。
温泉で溶ける謎の生物温泉の壺のやつでとける謎の生物
風呂自体はあまり広くはないが、いい湯だった。壺もあった。愛してるよ壺。
風呂った後はシャトルバスの時間があるので呆けてから早々に撤収。早々のユズーレン。笑。

成田空港に帰還後、第1ターミナルへ。目的は夜飯!旅行先での記念すべき第1号飯は!

~HOKKAIDO-RICE-BALL~
漬け卵!梅!北海道銀シャリ!!
他の地で地元のものを食べる経験って、旅先でしかできないんです。つまりこれは立派な旅の醍醐味ってこと!

さて、おにぎりを買った後は倉敷行の夜行バスに乗るために新宿へ移動。新宿の素敵なベンチで時を過ごし、SUICAのペンギン像を撮って夜行バスに乗り込む。
久々に眼鏡で外歩いたら何も見えなくてワロタ。こんなに見えなくても乗り場にたどり着けるのは、バスタ新宿の案内表示が分かりやすいから。

何も見えないままバスに乗り込む。ルミナスマスカット号。窓側後ろから3列目くらいの場所。
カーテンがあり、閉めればほぼ個室のようなものなので隣近所が気にならなくて大変良い。ブランケットも座席に配置されている。
これであったかく目的地まで行けるね!

2日目

翌朝。8時頃。倉敷に到着。
トイレが外にあって小さかったため、メイクは断念。眉毛だけ書いておしまい。しててもしてなくても変わらん。
そのまま倉敷観光館へ向かう。

倉敷駅周辺は近代的だったが、美濃地区は噂通り古風な、風情ある雰囲気!大原美術館前を通って川沿いを歩く。
早朝なので人はあまりおらず、人を避けて旅をしているコミュ障激こじらせ野郎こと私、歓喜。

駅を背にして左側の道が狭い?建物もなんとなく古いような……なんてことを考えながらぐるっと一周し、観光館へ。
開館と同時に川舟チケットを購入。振り向くととんでもない長蛇の列が。早い時間に行ってよかった~。


↑これは乗船時間まで散歩したいい感じの路地。

9時半になったので、支給された笠をかぶって舟に乗る。船頭のおっちゃんが説明をしてくれるので、昔の倉敷のことを想像しながら聞いた。
右側の道は後の時代に川を埋め立てて広くしたとのこと。左側の道が狭いと感じたのは、どうやら勘違いではなかったらしい。
川舟を漕ぐ音とおっちゃんの声が心地よかった。

舟を降りたらすぐに移動。もう倉敷の空気は十分に吸収しました。おなかいっぱいです。
次の目的地は備中松山城!今回のメインのひとつだ。
備中松山城に登城するためには7合目のふいご峠まで車で行く必要があるので、備中高梁駅からタクシーを拾ってふいご峠へ。
狭い住宅街をキャンキャンとばしていくタクシー。人が歩いていても速度が変わらない。す、すごい。

人はそれほどいないが、関ヶ原の高尾山 (この時)よりは多かった。
今にも倒れそうな顔で登る人たちに紛れて自分も登る。しんどい。頭の片隅にずっと関ヶ原の高尾山がいた。 あれもしんどかったが、これもしんどい。

また、今回は気温16度という普通に寒い中、本州を舐め腐っていた道産子の私は長そでパーカーに薄いウィンドブレーカーという装備でこの旅に臨んでいる。
そんなこんなで登るまではめちゃくちゃ寒かったが、登ったらちょうどいい具合に暑くなった。これを狙っていたんだよ。
途中で飲み物休憩をはさみ、これまでの道のりに思いをはせる。
昔の人は合戦になったらこの道を武装して食糧もって登ろうとしてたのか……無理すぎる!
昭和には大改修で女学生が瓦背負って登った!?昔の人の体力どうなってるんですか!?

などということを想像しつつ無事登城。
風が強いが、見下ろしてみるととっても山山山!登山したなぁという謎の達成感がある。八合目からしか登ってないケド。
石垣は野面積み。かっこいいねぇ。
※画像二枚目の石垣は城内最古の石垣だそう。SUTEKI☆
階段
チケット売り場で御城印を購入。全種類ください。売り場のおっちゃんが喜んでくれてなんだか嬉しかった。 むしろこちらからお礼を言わせてください。三種類も作ってくれてありがとうございます。最高にかわいいしかっこいいです。
さて、お待ちかねの天守を……とチケット売り場を後にしようとした時、おっちゃんが声をかけてきた。
「見えた?」
何がだろうか、と、おっちゃんが指さす場所を見た私の目に飛び込んできたのは……現城主、さんじゅーろー殿!!
さんじゅーろー殿
脳内の言葉が駄々洩れな私写真を撮らせてもらった おっちゃんと会話するさんじゅーろー殿
──という感じで、いざ天守へ。 天守はこじんまりとしているがバランスの良い形でかわいらしさがある。

天守内は混んでおらず、展示内容をじっくりと見ることができた。
城名物激烈角度急階段も、連子窓も見ることができて大変満足。
本丸内のベンチにはさんじゅーろー殿の彫刻がいてとてもとてもかわいらしい。百点満点で五千点の可愛さ。
階段と連子窓に興奮する私

さて。大満足したことだし、そろそろ次の場所へ移動しよう。
ふいご峠まで下山し、売店でお土産を購入。
タクシーを呼ぼうとした時、案内役のおっちゃんが声をかけてきた。どうやら、たまたま居合わせた別のおっちゃんが タクシーを呼んだから割り勘で乗っていけ!とのこと。それはナイスなアイデアですね!ということで一緒に乗ることに。
数分後タクシーが到着。おっちゃんは城が好きで、現存12天守もほとんど行っているとのことだった。
犬山城はここより楽だよbyおっちゃん
降りる時に半分を払おうとしたら全額払ってくれた。師匠と呼ばせてください!
いつか私も、あんな大人になりたいなぁ。
立ち去るおっちゃん

再び戻ってきた備中高梁駅。他の用事も特にないので電車が来るまで図書館で時を過ごす。
図書館+スタバという超絶おしゃれ施設で、スタバの注文ができない私は何も飲むことなく端の方でひっそりと松江城と犬山城に関する本を読んだ。
次の目的地は松江城。特急やくもに乗車する。
人少な目座席広めでその快適さに軽く感動した。松江城散策に向けて移動時間はひたすら寝る!
寝る私、途中の雪

松江城に着いたら速攻でタクシーを拾う。
タクシーの運転手さんの話がとても興味深かった。

──昔、松江城は国宝じゃなかった。作られた時代が分からなかったから。 それで祈祷札を探そうということになったが、いざ探し始めるとすぐに見つかってしまった。
国宝にはなったけど、ドラマにはならなかったねぇ(笑)──
+ タクシー運転手さんの話
また、城主だった松平直政公は松江城に来る前は松本城にも住んでいた。直政公は松本から松江に来る際にそば職人を一緒に連れてきたから、 松本には「信州そば」が、松江には「出雲そば」がそれぞれ残っている。
というお話も教えてくれた。
私が旅先でタクシーをよく使うのは、こういう話を聞くことが出来るから……というのも理由のひとつだったりする。
バス苦手すぎてできるだけ使いたくないからとかそんなわけないじゃないですかやだなーもう。

お話とともに観光マップをいただき、松江城に到着。
松江城は黒くてかっこいい!こちらも小さめではあるものの、バランスの取れた良いお城。
ザ・日本のお城!というような印象を受けた。控え目かつクール、素晴らしい。
なお、石垣は野面積み。くぅ~!
天守内にはタクシーの運転手さんが言っていた祈祷札や、天守内にあるのは珍しい井戸があって大満足した。
松江城松江城の石垣

天守を一通り見て回った後は堀川巡りへ。モーター付きの小舟で堀を50分かけてぐるっと一周してくれる。
なんとか最終便に滑り込み、いざ乗船。
船の中に炬燵があってすごい。芯から冷えた本州舐め腐り道産子を温かく包んでくれる。ありがたいね。
狭い橋の下を通る際、船の屋根が降りてくるので頭をぶつけないように下げる。屋根が降りてくる船は初めて乗った。
昔は川を使って町中移動していたという話を聞きながら、過去の松江に思いをはせた。
松江城の堀

舟を降りた後の予定は特になく、夕日を眺めながら駅前へ向かう。私の一人旅は基本的に飯を目的にしていないため、三食適当に済ませることもよくある。
でも一応、その土地の名物を食べておこうとは思っているので、今回も事前にマークしていた居酒屋さんに向かうが……
激混みの居酒屋
こんな具合なので即やめた。
一旦作戦を練り直すため、風呂に入ることに。今回の風呂はニューアーバンホテル松江。混んでいたら嫌だなぁと思いながら行ってみたが、お客さんは他に一人だけだった。
それはそれで怖いのよ

一旦頭をリセットした私、夜飯を食べるため、駅前のラーメン屋さんに向かう。
その道中、たまたま通りがかった居酒屋さんのメニューに出雲そばがあるのを発見。やっぱ旅に来たんだから一度は名物食べておかないとっ!
ということでそのままそこに入店することに。
注文した飯がこちら。
夜飯
お茶漬け!串5本盛り合わせ!エビベーコン串!オレンジジュース!
松江とは
気のいい店員さんが串に七味つけると美味いと教えてくれたのでその通りにしてみる。Very BIMI……!

腹を満たした後は名古屋行の夜行バスが来るまでひたすら待つ。ベンチが外。素材は石。寒い、寒すぎる。
薄っぺらいウィンドブレーカー一枚で大丈夫だと思った数日前の自分をロケットランチャーでボーンってしたい。 旭川駅が少しだけ恋しくなった。あそこ基本何もないけどベンチはたくさんあるぞ……
失礼な

そんなこんなでバスが到着。最後列真ん中の席。
松江・名古屋間のバスはカーテンが無かったが、三列独立シートなのでそれほどストレスはない。
最後列の席で後ろを気にせずフルフラット状態まで座席を倒すことができたのが大きかったように思う。今度から最後列真ん中か中間列窓際かで迷ったら最後列真ん中にしようかなと思った。

3日目

朝6時。名古屋到着。トイレで眉毛をかき(メイクはすでに諦めている)犬山行の電車に乗る。 私調べによると、7時台はめちゃくちゃ混むらしい。6時半はそれほど混んでいなかったので安心した。
犬山駅についてからはすぐに犬山城へ。町の様子を楽しみながら徒歩20分ほど。
天守にたどり着くまでに神社を通るルート2通りとシンプルに階段を登るルートがあるらしい。最初は階段で行くことにした。
城特有のバラバラ間隔階段に苦しみながら登っていると、二人組のマダムも階段を登っていた。
早朝にくる私みたいな人がいるんだなぁと思いながら登りきる。マダム二人組は関係者用入口から中に入っていった。スタッフの方でしたか……
異常者は私だけみたいネ
城門前についたはいいものの、開門が9時からのため城を見ることもできない。松本城 (この時)は中に入らずとも天守が見えたが、犬山城はそういうつくりではなかった。
というわけで神社散策に切り替えることに。
犬山城付近の神社犬山城付近の神社2
境内をじっくり見て、一度降りて神社を通るルートでまた登って……を繰り返し、説明書きと実際の風景を照らし合わせながら過去の犬山城に思いをはせる。
昔の人はここでどういう暮らしをしていたんだろうか。城に務めている人からすればこの道は職場へ向かう道であって、今日も仕事ダルイな~早く帰りたいな~とか思っていたんだろうか……
などとやっているうちに8時半に。神社で御朱印をいただき、城前に向かう。
城前に行くと今度はちゃんと人がたくさんいた。とりあえずチケットを買う。
列が形成されているのか分からないぬるっと入る作戦成功

いざ入城!
かっこいい……!最古だからかなんとなく歴史を感じる面持ちだ。店主の窓が木だからか……?石垣が野面積みだから……?
細かいことはよく分からないけれど、好きな雰囲気の城だった。
犬山城犬山城の石垣
天守内は窓が少ないのか、ひんやりとする。蔵の中みたいだなと思った。自分の前を歩いていた人たちが次々に階段を登っていくので、一階見ていいんですよね!?と不安になりつつ一階からじっくりと 展示を見て回った。
武者隠しの間、瓦の亀の飾り……備中高梁駅の図書館で調べたとおりだ!瓦の飾りはじっくり見ないと見えない。 そういう細かくて誰にも気が付かれないような部分にもこだわる日本人が私は好き。

天守を降りた後はいい感じで撮れる角度を探したり本丸内を隅から隅まで歩き回ったりして、満足したので犬山城を後に。
行きは謎の住宅街を通ったので、帰りは城下町を歩いてみる。城下町のお店はほとんど10時か10時半開店でやっていなかったが、風情あるいい街だと感じた。

犬山駅に戻ってから、近くに何かないか調べる。判断が遅い。
ベンチに座っていたところ、突然知らないおじいさんに声をかけられた。
目良い?と聞かれる私靴のサイズを確認する私靴のサイズが左右で違うおじいさん
おじいさん、何があったんだい……買ったばかりなのかい……交換してもらえるといいね……。
ここでおじいさんにこの近辺のおすすめスポットでも聞ければいいのに、コミュ障を激こじらせている私はそういうことができない。ちょっとずつ改善したい……。

おじいさんと別れてから、近くに木ノ下城跡があるとのことで歩いてみた。
駅からすごく近く、徒歩5分くらい。住宅街の中にあり、今は神社になっていた。特に残っているものはなく、跡地の石碑が立っているだけだが、以前はここに城があったんだと考えると 不思議な気持ちになる。
木ノ下城の石碑
昼飯は駅前のお洒落なカフェへ。天井が高い。どすっぴん山登り本州の寒さ爆舐めスタイルなのが申し訳なくなるぐらいのお洒落カフェで頼んだ昼飯はこちら。
キーマカレー
キーマカレー!……多分名古屋の名物は味噌カツ。いいんだよどうせ味噌カツ爆混みしてんだから!
美味キーマカレーを食した後、名古屋へ戻って新宿行きのバスに乗車。

バスは満席。年齢で座席を割り振られているのか、周りにお洒落な若者の女の子しかいなくてなんだか申し訳ない気持ち(二度目)に。 最初に降り立った時にも思ったが、名古屋の人はみんなおしゃれだった気がする。みんなスタイル良い。美しい人しかいない。自分のザ・田舎っぺビジュアルがめちゃくちゃ浮いて見えた。今度行く時はもっとお洒落しよう……。
お洒落に囲まれる田舎っぺ
寝ながらバスに揺られること約5時間。高速バスなのに進んでいないなと思っていたら、いつの間にか渋滞に巻き込まれていた。さすが東京行きの高速道路は違うねぇ!
結局新宿に着いたのは予定より1時間ほど遅れた午後7時。そこから宿に向かうが、宿に向かっている途中で気が付いた。
宿の場所、歌舞伎町のど真ん中じゃない……??
……歌舞伎町って……めっちゃ人がいて……治安悪いお兄さんいっぱいいて……シャンパンタワーが乱立してる……あの歌舞伎町!?
若干ビビりながら進んでみる。叫んでる人もいるしピチピチスーツのおっちゃんもいっぱいいるし、ぶつかったらカツアゲしてきそうな人もいっぱいいるし。
絡まれたら泣く自信があったので、「行く場所決まってるんで!ヘッドホンしてるから声聞こえないんで!」という顔で歌舞伎町を通り抜けた。
田舎っぺにとって歌舞伎町は魔境

今回の旅、最初で最後の宿に到着。古めのカプセルホテルだが、寝るだけなので全く問題ない。基本扉という扉が無く、フルオープンだったのが新鮮で面白かった。
そして最後の夜飯がこちら。
夜飯
This is コンビニメシ
こんなに人があふれかえってる場所で、お店の中で何かお洒落なものを食べるなんて無理です。
友人に相談慌てて迂回ルートを調べる私

4日目

早朝。前日必死に暗記した歌舞伎町迂回ルートを通って新宿駅へ向かう。歌舞伎町を早々に抜け、明治通りまで出ると怖そうな人があんまりいなくて一安心。
通常の倍の時間をかけて新宿バスタへ。そこから成田空港へ向かって旭川に無事戻ってきた。
シメメシは空港の梅光軒

総括

待ち時間も多く、とにかく寒かったが楽しい旅になった。
次回この時期に旅をする時には、本州といえどちゃんと防寒対策をして行きたい。あと治安もちゃんと調べておくようにしたい。
それから……2泊夜行バスはやめておけ。
腰も終わるし足も終わるし見た目も終わる。
締めのイラスト